マスコミの就活を振り返る①ー記者を目指した理由ー

 

 私の就職活動について、振り返って見ようと思います。なぜマスコミを目指したのか、就職活動中の悩み、どんな勉強をしたのか、面接の時に気をつけたことなどなど。

少しでも、記者を目指している人の参考になれば嬉しいです。

 

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まずは、記者を目指したきっかけから。

 

ー記者を志した理由ー

 

 初めて記者になりたいと思ったのは大学3年生の冬。記者の仕事をしている人が身の回りにいた訳でも、ずっと前から記者に憧れていた訳でもなくて、周囲が就職活動を始める中、私もどんな企業を受けようか、将来なにになりたいかと考えた時に初めて選択肢として「記者」が出てきた。

 

記者になりたいと思ったのは、「想像ではなく、直接人の声を聞いてそれを伝えたい」と思ったからだ。

  

 高校2年生の時カナダに留学していた際、学校に頼んで紹介してもらった現地の男の子に週1回英会話の練習を手伝ってもらっていた。彼は、障がいを持っていて車椅子がないと動けず、体には何本もチューブがついていた。彼とは、その日あったことや、お互いの趣味を話していたけれど、「自分が入ってるバスケットボールチームの話をしたら、運動ができない彼は嫌な思いをするかな」とか、「彼は障がいについて触れてほしくないだろうな」と思うと、当たり障りのない会話しか出来なかった。気を使いすぎて会話も弾まず、わざわざ頼んで手伝ってもらっていたのに、週に1回彼に会うのが苦痛だった。

 

 そんなある日、彼から急に「僕の障がいについてどう思ってる?」と聞かれた。驚いてうまく返せずにいると、彼は「見ないふりをしたりしなくていいから、知りたいことがあったら聞いてくれた方が嬉しい」と続けた。私は、勝手に彼の気持ちを想像して、障害について触れてほしくないだろうと思っていたけれど、それが逆に彼に嫌な思いをさせていたんだとはっとさせられた。聞いてみると、彼は自分で体を動かすことはできなくてもスポーツを観戦するのが大好きだったし、私のクラブ活動の話も楽しそうに聞いてくれた。彼とは、何でも話せるようになった訳では無いけれど、週1回の時間が少しだけ、楽しみになった。

  

 人は、多かれ少なかれ他人の気持ちや境遇を想像しながら生活している。それは、「思いやり」でもあるけれど、一方で自分の想像の範囲内で相手を理解したと思うことは知らないうちに相手を傷つけたり、差別意識を生んだりすることがある。いつも大学の授業に遅刻してくる人を見れば、「不真面目な人だな」と思ってしまうけれど、実際に遅刻する理由を聞いてみたら学費を稼ぐために夜遅くまで働いているのかもしれないし、一人でいるの人を見たら「一人でいるのが好きなのかな」と思うけれど、実際は仲良くしたいけど話しかけるのが苦手なだけかもしれない。想像するだけでなく、一歩踏み込んで直接話しを聞いてみるたびに、自分の想像を超える返答に驚き、想像力のちっぽけさを感じる。

 

 だから私は、想像で相手を判断するのではなく本人の言葉を聞くことを大切にしてきた。記者ならそれを仕事にできるんじゃないかと思い、この仕事を選んだ。

 

 記者になって長い月日が経った今も、この気持ちは変わらない。取材をするたびに、自分の常識を壊してくれる言葉や生き方に出会える、そしてその驚きや発見を多くの読者に伝えることができる。記者の仕事は労働時間も長いし、つらいことも多い。それでも5年前、記者という仕事を選んだ自分の選択肢は間違ってなかったかな、と思う。