マスコミの就活を振り返る②―筆記試験対策―

 

 

 

  

 マスコミ就活の第一の壁は筆記試験です。この試験で、多くの受験者が振り落とされる。筆記試験の内容は社によって違うけど、大体は、時事問題(一般常識)、漢字問題、作文の三部構成で成り立っています。筆記試験を通過しないと、どんなに熱い思いがあっても面接までたどり着くことができないので、しっかり勉強しておいた方がいいと思います。

 

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ー時事問題ー

 時事問題は、政治からスポーツまで幅広い問題が出ます。私が使っていておすすめの教材は

 

新聞ダイジェスト社の「最新時事用語&問題」

(余裕があれば可能なら毎月発行されているものも)

中でも、季節ごとに増刊される問題集は実際の試験問題に似せた問題もあって便利です。

https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%80%E6%96%B0%E6%99%82%E4%BA%8B%E7%94%A8%E8%AA%9E-%E5%95%8F%E9%A1%8C-2021%E5%B9%B4-03-%E6%9C%88%E5%8F%B7/dp/B08WV2Z4NC

 

日本ニュース時事能力検定協会の「ニュース検定公式テキスト」

https://www.amazon.co.jp/2021%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%A4%9C%E5%AE%9A%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88-%E3%80%8C%E6%99%82%E4%BA%8B%E5%8A%9B%E3%80%8D%E7%99%BA%E5%B1%95%E7%B7%A8-1%E3%83%BB2%E3%83%BB%E6%BA%962%E7%B4%9A%E5%AF%BE%E5%BF%9C-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E6%99%82%E4%BA%8B%E8%83%BD%E5%8A%9B%E6%A4%9C%E5%AE%9A%E5%8D%94%E4%BC%9A/dp/4620907499/ref=sr_1_1?dchild=1&qid=1616934447&s=books&sr=1-1

 (私が受けたときは毎日新聞の筆記試験はこのニュース検定のテキストの問題とかなり似た問題が出ました。)

 

朝日新聞社出版の「朝日キーワード」

https://www.amazon.co.jp/%E6%9C%9D%E6%97%A5%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%892021-%E6%9C%9D%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E%E5%87%BA%E7%89%88/dp/4022276487

 

 の3冊です。他にも、いろいろな参考書がありますが多くの教材に手をだすというよりはこの3冊をしっかり読み込むのが大事かなと思います。私は大学生の冬ごろから1日1時間半ほど勉強して受験した全国紙4社、地方紙1社、キー局1社、NHKの筆記はすべて通過することができました。

 

 

―漢字問題―

  漢字問題に関しては、この本をひたすら繰り返し手勉強しました。私は漢字が苦手なので感じの勉強も1日1時間はするようにしていました。

https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%81%AE%E5%B0%B1%E8%81%B7-%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%9F%E6%BC%A2%E5%AD%97%EF%BC%9C2022%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E7%89%88%EF%BC%9E-%E5%B0%B1%E8%81%B7%E8%A9%A6%E9%A8%93%E6%83%85%E5%A0%B1%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A/dp/4565220342/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%9F%E6%BC%A2%E5%AD%97&qid=1616935255&s=books&sr=1-1

 

 

 ー作文ー

個人的に一番対策が難しかったのが作文です。

 

 作文問題は、60分800字以内で与えられたテーマについて書くのが一般的です。作文の練習として、私はまず60分でテーマを決めて作文を書く→友人や家族に見せて感想をもらう→感想を踏まえて時間を掛けて納得のいく文章になるまで推敲する。というのを繰り返していました。

 

 出されるテーマに従って、毎回1からエピソードを考え、構成を作って60分以内に文章にまとめるのはなかなか難しいです。なので、私は作文の肝になるエピソードをあらかじめ何個か用意しておいて、テーマによって調整できるようにしてました。(すべての問題に用意していたものを無理矢理使うのではなく、安心するためのお守りのような感じです。実際に試験では用意したものを使ったのが3社ほどで、あとはその場で考えました)

 

 作文で心がけたのは、

①起承転結をしっかり書くこと

②背伸びをせず、わかりやすい言葉を心がけること

③自分の体験を具体的に書き、それを元に自分の主張を導き出すこと

④一文を簡潔にすること

⑤段落ごとの文章の量をなるべく均等にすること

      

                                  です。

 

  作文の時間配分は、最初の10~20分で構成を作り、残りの30分程度で文章を完成させて、最期の10分で微調整といった感じでした。

 

 

 マスコミ塾にも通っていなかったので、他の受験生がどれくらいのレベルなのか、どんなエピソードを書いているのかが分からず、不安になることも多かったです。そんなときに参考にしたのが、下記のホームページです。

実際に内定した人の、作文が載っているのでこれらの文章は良いお手本になりました。

内定者の作文公開 - 高内定率のマスコミ就職塾

 

 

 

マスコミの就活を振り返る①ー記者を目指した理由ー

 

 私の就職活動について、振り返って見ようと思います。なぜマスコミを目指したのか、就職活動中の悩み、どんな勉強をしたのか、面接の時に気をつけたことなどなど。

少しでも、記者を目指している人の参考になれば嬉しいです。

 

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まずは、記者を目指したきっかけから。

 

ー記者を志した理由ー

 

 初めて記者になりたいと思ったのは大学3年生の冬。記者の仕事をしている人が身の回りにいた訳でも、ずっと前から記者に憧れていた訳でもなくて、周囲が就職活動を始める中、私もどんな企業を受けようか、将来なにになりたいかと考えた時に初めて選択肢として「記者」が出てきた。

 

記者になりたいと思ったのは、「想像ではなく、直接人の声を聞いてそれを伝えたい」と思ったからだ。

  

 高校2年生の時カナダに留学していた際、学校に頼んで紹介してもらった現地の男の子に週1回英会話の練習を手伝ってもらっていた。彼は、障がいを持っていて車椅子がないと動けず、体には何本もチューブがついていた。彼とは、その日あったことや、お互いの趣味を話していたけれど、「自分が入ってるバスケットボールチームの話をしたら、運動ができない彼は嫌な思いをするかな」とか、「彼は障がいについて触れてほしくないだろうな」と思うと、当たり障りのない会話しか出来なかった。気を使いすぎて会話も弾まず、わざわざ頼んで手伝ってもらっていたのに、週に1回彼に会うのが苦痛だった。

 

 そんなある日、彼から急に「僕の障がいについてどう思ってる?」と聞かれた。驚いてうまく返せずにいると、彼は「見ないふりをしたりしなくていいから、知りたいことがあったら聞いてくれた方が嬉しい」と続けた。私は、勝手に彼の気持ちを想像して、障害について触れてほしくないだろうと思っていたけれど、それが逆に彼に嫌な思いをさせていたんだとはっとさせられた。聞いてみると、彼は自分で体を動かすことはできなくてもスポーツを観戦するのが大好きだったし、私のクラブ活動の話も楽しそうに聞いてくれた。彼とは、何でも話せるようになった訳では無いけれど、週1回の時間が少しだけ、楽しみになった。

  

 人は、多かれ少なかれ他人の気持ちや境遇を想像しながら生活している。それは、「思いやり」でもあるけれど、一方で自分の想像の範囲内で相手を理解したと思うことは知らないうちに相手を傷つけたり、差別意識を生んだりすることがある。いつも大学の授業に遅刻してくる人を見れば、「不真面目な人だな」と思ってしまうけれど、実際に遅刻する理由を聞いてみたら学費を稼ぐために夜遅くまで働いているのかもしれないし、一人でいるの人を見たら「一人でいるのが好きなのかな」と思うけれど、実際は仲良くしたいけど話しかけるのが苦手なだけかもしれない。想像するだけでなく、一歩踏み込んで直接話しを聞いてみるたびに、自分の想像を超える返答に驚き、想像力のちっぽけさを感じる。

 

 だから私は、想像で相手を判断するのではなく本人の言葉を聞くことを大切にしてきた。記者ならそれを仕事にできるんじゃないかと思い、この仕事を選んだ。

 

 記者になって長い月日が経った今も、この気持ちは変わらない。取材をするたびに、自分の常識を壊してくれる言葉や生き方に出会える、そしてその驚きや発見を多くの読者に伝えることができる。記者の仕事は労働時間も長いし、つらいことも多い。それでも5年前、記者という仕事を選んだ自分の選択肢は間違ってなかったかな、と思う。

 

 

オーブンについて

  もしも誰かに、実家の中で一番好きな場所は?と聞かれれば私は「オーブンの前」と答える。実家のオーブンは、ビルドイン型というものででガスコンロの下に埋め込まれていた。外国好きの母が選んだ海外製のものだから、小学3年生の女の子が丸まって入れるくらいの大物だ。その割にキッチンは狭く、作業台がオーブンの両脇を囲っているので、前に座ると両端を作業台に囲まれてオーブンと私だけの空間ができる。 

 

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 座って何をするかというと、ひたすらお菓子やパンが焼ける様子を見る。小学生のころ、母が夏休みに分厚いレシピ本を買ってきて、毎日1つづつお菓子を作ろうといってプディングやクッキー、チョコレートバナナパイなどいろいろなお菓子を焼いた。オーブンの中で、じっくり膨らんでいく生地を見ているのが楽しくて、漏れてくる甘い匂いと少し暑すぎる熱に包まれていると、あっという間に時間が過ぎた。

 

 それからというもの、私はオーブンとたくさんの時間を共有してきた。1人でお菓子作りができるようになってからは、バレンタイン全日に夜なべして友達に友チョコを作る時、大学の合格発表まで不安で押しつぶされそうになった時、むしゃくしゃして眠れなくて、夜中にどうしても激甘ブラウニーが食べたくなったとき、私はいつも生地とそのときの気持ちを一緒に入れて、目の前で体育座りをして首の痛みと闘いながら膨らんだり、焼き色がついたりしていく様子を見ていた。キッチンが狭かったおかげで、生地が焼けるまでの間は私とオーブンは2人きりで、そこでは何も気にせず、泣いたり、ニヤニヤしたり、ぼーっとしたりすることができた。


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 社会人になって一人暮らしをするようになり、しばらくはオーブンがない生活を送った。忙しくてお菓子作りはおろか料理もあまりしなくなったけれど、どうしてもオーブンの前で過ごした時間が恋しくて、社会人4年目にして一人暮らしには似つかわしくない大型のオーブンを家に招いた。実家のキッチンよりさらに狭く、オーブンを置く場所なんてなかったけど、冷蔵庫の上に無理矢理置き場所を作った。

 

 今は、冷蔵庫に腕と顎をのっけてすこし背伸びをしながら足をぷるぷるさせて熱を持ったオレンジ色の光が生地に容赦なく降り注いでいる様子を眺めている。これからもきっと、たくさんの悲しい思いや、うきうきする感情を持って中の様子を眺めるのだろう。私の仕事は引っ越しが多いから、住む家によってのぞき込む姿勢は中腰になったり、座ったり、背伸びしたりいろいろ変わる。でも、オーブンを覗くときのこの安心感だけは変わらないでいてほしいと思う。

 

 180度の空間に閉じ込められ、気ままに膨らんでいくシュー生地を見ながら、腰が痛いって文句を言いながら中腰で中を覗く自分の姿を想像して、ふっと笑った。

 

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文章が上手な人ってどんな人?

 

 実家の本棚を整理していたら、高校生の時の日記が出てきた。1ページ目には、「文章は伝えたいと思うことがあって初めて書けるものだと思う。どれだけきれいな言葉を知っていても、伝えたいと思う衝動がなければその文章は空っぽだ。だから私は、伝えたいと思うことを持ち続けたい」と書いてあった。

 

中2病のようですこし恥ずかしいけれど、なるほどなと納得させられた。記者1年目の時、いじめで自殺した中学生の女の子のお父さんからお話を聞いたことがある。娘さんの写真を前に、お父さんはなぜ家族思いの娘が死ななくてはならなかったのか、学校はどうしていじめに気づけなかったのかと心のうちをぽつりぽつりと語ってくれた。言葉は少なかったけれど、悔しさや怒り、やるせなさが痛いほど伝わった。話しを聞いてすぐ、いてもたってもいられなくなって、車の中で原稿をいっきに書き上げた。

 

デスク(上司)に原稿を出すと、ほとんど手をいれられないままの原稿が帰ってきた。記者になってはじめて「良い原稿だ」と言葉をもらった。

 

 あのときの記者1年目の自分の原稿が、上手な文章だったとは言えないと思う。でも、自分が感じた怒りや切なさは伝わったはずだ。どんなに言葉が稚拙でも、伝えたい気持ちの強さがあれば、読み手のこころを揺さぶる文章になる。逆に言えば、伝えたいことが何もない人の文章は、いくらきれいな言葉で飾っても空っぽだと読者に見透かされる。

 

良い文章を書くということは、心の中に大きな感情の渦を持っている人だ。記者になって5年、1年目よりも文章の技術は少しは上がった。その一方で、いろんな事件を見るうちに心が擦れ、純粋に感じる怒りや悲しみ、喜びが減っていってしまったようにも感じる。今の自分は、あのときのように書きたくていても立ってもいられないという衝動を感じられるだろうか。今一度擦れてしまった自分の感情に向き合って、伝えたいと思える気持ちを育てていきたい。

 

 

 

 

記者、ブログ始めました

はじめまして。

2021年2月27日からブログを始めてみることにしました。

 

新聞記者として事件や事故、新しい政策など『ニュース』を追う中で、見落としてしまいがちな日常の小さな感動や、疑問を残しておきたいと思い、ブログを書くことにしました。

 

他にも、読んだ本の紹介や、趣味の料理についての雑感など自分の琴線に触れたことを徒然なるままに書こうと思います。もし興味があれば、読んでいただけると、嬉しいです。